Paradocs (paragraph-oriented document presentation system) はパラグラフ指向のテキスト・プレゼンテーション・システムです。 たくさんのテキストをパラグラフ(段落)ごとに示すのに適しています。 Paradocs では1枚のスライドに1つのパラグラフを表示することを基本としています。 キーやボタンを1回押すたびに、センテンスが次々とハイライトされます。 これにより、発表者が今どのセンテンスに注目しているか、聴衆は把握することができます。
Paradocsの開発者は、これを自身が担当する大学の英語リーディングの授業で個人的に使うため開発しました。リーディングの授業では教師も学生も終始下を向いて時間のほとんどを過ごしがちですが、これは悲しいことです。1行1センテンス形式のテキスト・データさえ用意すれば、授業中に使用するプレゼン資料を簡単に用意できます。Zoomなどの遠隔ミーティングアプリと一緒に使えば、オンライン授業を行う際にも活用できるでしょう。
Paradocsには 多言語の音声読み上げ機能があります。Google Chrome、Mozilla Firefox、Apple Safari、Microsoft EdgeといったブラウザのWeb Speech APIを用いており、コンピュータにインストールされている複数の言語から1つ選んで、プレゼン中の好きなときにセンテンスを読み上げさせることができます。(Microsoft Internet Explorerでは音声読み上げ機能やその他の一部機能は使えません。)
作成したプレゼンは、ユーザー自身による口頭での発表に使うことができます。あるいは、全体を自動でプレゼンさせることもできます。画面右上の魔法の杖アイコンをクリックしてください。現在のスライドの次の断片から発表全体の最終の断片まで、テキストの読み上げや動画再生などが次々と自動で実行されます。
Paradocsの多くの機能は、Hakim El Hattab さんが開発したプレゼン用スライド作成ライブラリ Reveal.jsに依存しています(MIT License)。素晴らしいライブラリを提供していただき感謝します。背景の美しい壁紙は Transparent Textures で提供されているものを使っています。
Paradocsは長谷部陽一郎が開発しました。本サイトではトラフィックの分析のためGoogle Analyticsを使用しますが、それ以外の仕組みでユーザー情報を収集することは行いません。 また、入力されたテキストデータは、プレゼンに変換され、ユーザーのブラウザに送られた後、サーバーに保存されることはありません。
プレゼン中の様々な機能はマウスを用いて実行できますが、キーボードを使った操作も可能です。
キー | 機能 |
---|---|
↓ |
次 のアイテムに移動 |
↑ |
前 のアイテムに移動 |
j |
次 のアイテムに移動 |
k |
前 のアイテムに移動 |
SPACE |
次 のアイテムに移動 |
SHIFT+SPACE |
前 のアイテムに移動 |
. |
合成音声の開始/停止; 動画・音声の開始/停止(YouTube 動画を含む); ポップアップ画像の拡大/縮小 |
a |
自動プレゼンテーションの開始/停止 |
/ |
ブラックアウト(暗転)の開始/停止 |
f |
フルスクリーン・モードの開始 |
ESC |
オーバービュー・モードの開始; フルスクリーン・モードの終了 |
s |
スティッキー・ノートの表示/非表示 |
p |
レーザー風マウスポインターの使用/不使用 |
SHIFT+TAB |
スティッキー・ノートの編集を終了(フォーカスを外す) |
g |
Google検索画面を新しいタブで開いて選択中の文字列を検索 |
便利な使い方
Logitech Wireless Presenter R400/R800 というプレゼン用ポインターデバイスはおすすめです。Paradocs でのプレゼン中のアイテム間の移動や、音声合成・動画・音声の開始/停止に、物理ボタンを使うことができます。
センテンス(sentence)
スライド上ではパラグラフ内の隣り合った要素として扱われます。スライド上で次々とハイライトされていきます。センテンスを記述する際には単一の改行↩
によって区切ります。ただし、自動センテンス分割機能を使うと、用いている言語に応じて(英語、日本語、etc.)、自動でセンテンスの分割が行われます。自動センテンス分割を行う際には、テキストの頭に!!
を付けます。
パラグラフ(paragraph)
複数のセンテンスから構成されるブロックのことをパラグラフと呼びます。1行1センテンスで記述していきます。
ブロック(block)
ブロックは2つ以上の連続した改行↩↩
によって区切られます。1つのブロックは複数の要素を持つことができますが、複数のセンテンスによって構成されたブロックをパラグラフと呼びます。
スライド(slide)
スライドは「ページ」と呼ぶこともできます。スライドは4つ以上のハイフンと改行(----↩
または - - - -↩
)で区切ります。1つのスライドは複数のブロックを持つことができます。
センテンスを改行しながら縦に記述していくとパラグラフ(ブロック)になります。
----
Sentence #1
Sentence #2
Sentence #3
----
自動センテンス分割機能を使うと、上記は下のように書くことができます。
----
!! Sentence #1 Sentence #2 Sentence #3
----
自動センテンス分割を行うには、テキストの頭に!!
を付けます。また、各センテンスの最後には文区切りの記号(英語ならピリオド、日本語なら句点など)が付いている必要があります。
ブロックはパラグラフ(段落)に対応します。ただし、Paradocsでは「1スライドにつき1ブロック」を推奨します。
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Block #1
Block #2
Block #2
Block #2
----
スライドは「ページ」に対応します。1つのスライドに複数のブロックを含められます。
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Slide #1
----
Slide #2
----
Slide #3
----
ここでは様々な種類のブロックについて示します。
異なるレベルの見出しを付けることができます。見出しは選択したアクセント・カラーで表示されます。
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# Heading 1
## Heading 2
### Heading 3
----
パラグラフは1行1センテンスで記述します。
This is regular paragraph.
Sentences in static text are highlighted when focused.
They are printed in grey when not focused.
通常のパラグラフでは、キーを押すことでセンテンスごとにハイライトが移動します。スライドに収まりきらないときには自動でスクロールされます。
静的なパラグラフを作成するには、パラグラフを構成する各センテンスの行頭に垂直バー記号とスペースを配置します。
| This is static paragraph.
| Sentences in static text are not highlighted
| They are always printed in black.
または
| This is static paragraph.
Sentences in static text are not highlighted
They are always printed in black.
静的なパラグラフでは、センテンスごとのハイライト移動がオフになります。スライドに収まらないときにも自動でスクロールされないので注意が必要です。
いわゆる箇条書きの書式です。アスタリスクの後にスペースが必要です。スライドに収まりきらないときには自動でスクロールされます。
* Unordered list item 1
* Unordered list item 2
* Unordered list item 3
番号付きの箇条書きの書式です。番号の後にスペースが必要です。スライドに収まりきらないときには自動でスクロールされます。
1. Ordered list item 1
2. Ordered list item 2
3. Ordered list item 3
a. Ordered list item 1
b. Ordered list item 2
c. Ordered list item 3
注: 箇条書きの最初の番号を指定することはできません。
任意の番号を付けたブロックを作成することができます。問題集の公式や問題を提示するようなときに便利です。
365. The number in a numbered block will be printed only once;
the left-hand side of the text can have multiple lines
the lines are aligned nicely
注: 上記の例で2行目以降の左側のスペースは重要です。
ここでは文字装飾と、本文の近くに付加的に表示するノート(注記テキスト)の作成方法を説明します。
太字、斜字、下線、ハイライトが使用可能です。
斜字: orange *strawberry* apple
太字: orange **strawberry** apple
下線: orange _strawberry_ apple
ハイライト: orange ==strawberry== apple
ノートは波カッコとnote
コマンドを用いて作成します。文字によるノートのほか、画像のURLを指定してポップアップさせることができます。
This is part of main text. {note: これは注です}
This is also part of main text. {note: これも注です}
You can also add a pop-up image. {image: url_to_your_image_file.(png|jpg|gif)}
注: ノートとポップアップ画像は「通常のパラグラフ」と「順序なし/順序付きリスト」で利用可能です。なお、自動センテンス分割機能を用いる場合は、ノートとポップアップ画像を表示できません。波括弧{ }
とその中のテキストは削除されます。
便利な使い方
自分で作成した図形などを埋め込みたい場合、Google Drawingsで作成して
ファイル
ウェブに公開
で取得したPNG画像のリンクを貼り付けることができます。フローチャートやガントチャートなどのダイアグラムを埋め込みたい場合は、Mermaid Live EditorのLink to SVG
でSVGのリンクを取得して貼り付けることができます。
最初は聴衆から隠しておいて、適当なタイミングで答を示すようなクイズを記述することができます。
| In a static context, words and phrases in {curly brackets}
| will be rendered as {quize items} overlayed by an opaque box.
注: クイズを記述する際には、静的なパラグラフもしくは静的な順序つき/順序なしリストを用いる必要があります。
画像、動画、音声などをスライドに埋め込むことができます。
ウェブ上にアップロードされたPNGやJPGなどのファイルURLを用いて画像を指定します。画像はスライド全体に可能な限りで拡大表示されます。
image: url_to_your_image_file.png
または
img: url_to_your_image_file.png
注: 画像を表示するには、上記コマンドがそのスライド中で唯一のブロックとなるように記述します。複数のブロックを記述した場合には、画像自体は表示されず、画像へのリンクが用いられます。
YouTubeのURLを用いて動画を指定します。
youtube: https://www.youtube.com/watch?v=Ks-_Mh1QhMc
または
yt: https://www.youtube.com/watch?v=Ks-_Mh1QhMc
youtube動画のURLには開始時点と終了時点を指定することができます。その際には &start=x&end=y
の形式でオプションをURLに追加します。動画全体の中でスライドで再生するセグメントは動画の始まりからの経過秒数で指定します。下記の指定では動画の12分27秒(x=747
)から12分55秒(x=775
)までを再生します。
youtube: https://www.youtube.com/watch?v=RKK7wGAYP6k&start=747&end=775
もっと直感的な 時間:分:秒
の形式で指定することもできます。
youtube: https://www.youtube.com/watch?v=RKK7wGAYP6k&start=12:27&end=12:55
注: YouTube 動画を表示するには、上記コマンドがそのスライド中で唯一のブロックとなるように記述します。複数のブロックを記述した場合には、動画自体は表示されず、動画へのリンクが用いられます。
ウェブ上にアップロードされたMP4形式ファイルのURLを用いて動画を指定します。
video: url_to_your_video_file.mp4
MP4動画のURLには開始時点と終了時点を指定することができます。その際には #t=x,y
の形式でオプションをURLに追加します。それぞれ、動画の最初からの経過秒数で表すことに注意してください。下記の指定では動画の最初(x=0
)から5秒後(x=5
)までを再生します。
video: url_to_your_video_file.mp4#t=0,5
注: MP4動画を表示するには、上記コマンドがそのスライド中で唯一のブロックとなるように記述します。複数のブロックを記述した場合には、動画自体は表示されず、動画へのリンクが用いられます。
ウェブ上にアップロードされたMP3形式ファイルのURLを用いて音声を指定します。
audio: url_to_your_audio_file_1.mp3
audio: url_to_your_audio_file_2.mp3
MP3音声ファイルのURLには開始時点と終了時点を指定することができます。その際には #t=x,y
の形式でオプションをURLに追加します。それぞれ、動画の最初からの経過秒数で表すことに注意してください。下記の指定では音声の最初(x=0
)から5秒後(x=5
)までを再生します。
video: url_to_your_video_file.mp4#t=0,5
注: 1つのスライドの中で音声ファイルのブロックを複数記述することが可能です。スライドに収まりきらないときには自動でスクロールされます。
通常のパラグラフ内のセンテンスはブラウザから利用可能な音声合成エンジンで音声を再生することができます。使用可能な言語と音声のバリエーションは OS とブラウザによって異なります。
音声合成が可能なときには、プレゼン画面の左上にスピーカーのアイコン現れます。このアイコンをクリックするか、もしくはキーボードの .
キーを打鍵すると音声が再生されます。もう一度クリック/打鍵すると再生を途中で停止することができます。
プレゼン中に思いついた内容をスティッキー・ノートに書いて聴衆に示すことができます。
プレゼン画面左上の「紙切れ」アイコンをクリックするとスティッキー・ノートの表示/非表示を切り替えられます。スティッキー・ノートの内容はスライドが切り替わってもそのまま保持されます。
プレゼン中のマウスポインターの形状をレーザーポインター風に切り替えることができます。プレゼン画面左上の●アイコンをクリックしてください。
レーザー風にしたときのポインターの色は設定画面で指定したアクセント・カラーと同じになります。
画面左上の魔法の杖アイコンをクリックしてください。現在のスライドの次の断片から発表全体の最終の断片まで、テキストの読み上げや動画再生などが次々と自動で実行されます。